(写真は全て筆者撮影)
私の南米とメキシコの経験
新トランプ政権で何かと話題が絶えず注目の的となっている米国と国境を接し、特に自動車関税発動で大きな影響を受けることで注目されているメキシコに、3年間住みました。ちょうどコロナ禍だったので、観光が殆どできなかったのですが、メキシコの文化に触れることができ、私の人生の中でも有意義な時を過ごせたと思います。
テキーラ、サボテン、タコス、ソンブレロ、マリアッチ。陽気で明るい一方、麻薬組織で治安が悪い。
メキシコと言えばそんなイメージがあるかと思います。私はメキシコに住む以前に通算20年以上、南米の他の3ヵ国に住んでいたので、初めてラテンアメリカのメキシコに住むことになった日本人が受けるであろう、ラテン系文化のカルチャーショックの洗礼は既に受けていました。ですので、そういう共通部分は省いて、メキシコ独自の文化について、紹介させて頂こうと思います。
「死者の日」はメキシコの大イベント
中南米の他の国にはないメキシコの大きなイベントに、11月2日の、ユネスコの無形文化財に指定されている「死者の日」があります。この日は皆仮装をするので、10月31日のハロウィーンのメキシコ版ではないかと思われがちで、実際お隣の米国の文化の影響も受けて、1ヶ月くらい前から、スーパーでは大きなカボチャがゴロゴロ売られ始めます。

死者の日とハロウィーンの大きな違い
しかしメキシコの死者の日とハロウィーンには、大きな違いがあります。
メキシコの死者の日は、アステカ文明がスペイン人に征服される前からあった風習と言われており、亡くなった人たちがあの世から戻ってくるのを迎える日です。ご先祖様の霊を供養する日本のお盆と、似ているかもしれません。
ハロウィーンも先祖の霊がやってくる日ですが、先祖だけでなく悪魔や魔女なども死後の世界からくるので、魔よけのために魔女や悪霊の仮装をします。が、メキシコの死者の日は、そういう悪霊は出てきません。愛する家族など、亡くなった人が戻ってくるのを温かく迎え、皆で一緒にお祭り騒ぎをするという、基本的に陽気なお祭りです。
死者の日グッズ、死者の日フーズ
死者の日には、骸骨の形をしたキャンディーや、骨を模った甘いパンが売られます。このパンは素朴ながら、死者に迷わずに来てもらえるようにほんのりオレンジの香りがつけられており、病みつきになる味です。私は死者の日前後に、パン屋にごっそり並ぶこのパンを多めに買って、冷凍して死者の日の後もおやつにしていました。
そしてショッピングモールなどでは、こんな「見ざる、聞かざる、言わざる」骸骨や、人間だけでなく、陽気な動物の骸骨も売られたりしています。
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死者の日の仮装
仮装も、骸骨をアレンジしたものが定番で、特に女性は、カトリーナと呼ばれる、大きな帽子を被った骸骨の貴婦人に扮します。これはもともと、西欧の文化に憧れてまねようとした、先住民女性を皮肉ったものです。カトリーナにしても他の骸骨にしても、どんなに着飾って裕福でも、死んでしまえば皆同じという考えが根底にあり、スペイン系の征服民族とインディオ系の被征服民族が共存して一つの国を形成するメキシコの、哲学のようなものを感じます。
これは、死者の日に行われた高校の学園祭ですが、街中が、このような仮装や化粧をした人たちで溢れます。

こんなお洒落な陶器の骸骨の置物は、メキシコシティのアート街にあるカフェで見つけました。
メキシコで盛んな、プロレスラーのマスクをアレンジしたもののようです。

死者の日は、皆で飲んで食べて騒ぐ日
先住民の割合が多い南部のオアハカ州では、死者の日に墓地が開放され、大量のキャンドルやマリーゴールドの花などで飾られた祭壇やお墓で、一晩中陽気に飲んで食べて歌って踊る家族たちと一緒に楽しむ観光客で賑わいます。
ちなみにメキシコ人は、他のラテン系の国の人たちよりもスピリチュアルなところがあって、職場の昼休みに皆で食事をしていると、怪談話が始まることがあります。皆誰もが、不思議な体験とか幽霊らしきものを見たことがあるようで、誰かがその話をし始めると盛り上がってなかなか終わりません。これも、夏には怪談を楽しむ(?)日本人と、似ているところがあるように思います。
もう一つちなみに、死者の日は皆飲んで騒ぐので、翌日は、祭日でなくても会社カレンダーで休日とする会社が多いです。二日酔いで、出勤率がかなり落ちるためです。
メキシコの食材
最後に、食材について少しお話します。
メキシコ料理と言えば辛いので有名ですが、唐辛子の種類は豊富にあり、スーパーにもこのようにして売られています。マイルド系から激辛系までありますが、見ただけでは分からないので注意が必要です。
またレモンやオレンジ、ライムは、キロ単位で売られており、特に、どんな料理にも塩の代わりにシュッとかけるライムは、塩より健康的で、メキシコ料理の必需品です。尚メキシコでは、「レモン色」と呼ばれる色は黄色ではなく、ライムの緑色です。
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