コロンビア生活通算10年 – 麻薬と反政府ゲリラは過去の話

南米のコロンビアの首都のボゴタ市に、通算10年近く住みました。

コロンビア第二の都市 メデジン

コロンビアといえば、Netflixのドラマの「ナルコス」で知られる麻薬組織や、反政府ゲリラのイメージが強く、「南米の危ない国」の印象が強いかと思います。

しかし、麻薬組織に関しては、「ナルコス」の主人公となった実在の麻薬王パブロ・エスコバールが、1993年12月に警察の特殊部隊との銃撃戦の末射殺されてからは衰退し、今や麻薬組織の抗争による治安悪化は、メキシコの方が深刻です。

またゲリラは、自身の父親がゲリラに殺され、2002年に大統領に就任したアルバロ・ウリベ氏の強靭な対ゲリラ政策で、私が住み始めた2009年は、飛躍的に治安が改善していました。なお主要なゲリラ組織のFARCとは、それだけでまた映画が作れそうな紆余曲折はありましたが、2016年に政府との和平合意締結に至り、公式には武器を捨てて解散し、現在に至っています。和平合意に導いた当時の大統領は、ノーベル平和賞を受賞しました。

ただ治安が改善したといっても、比較の対象となる時代の治安はかなり悪かったので、私が住んでいた時期もまだ、ショッピングモールや、通勤していたオフィスビルの駐車場の入り口では必ず、一台一台車を停めてドアを開け、シェパード犬を連れた警備員のチェックを受けるのが、ごく普通の日常風景ではありました。

オフィスから見たボゴタ市街
オフィスビル入り口

コロンビアは世界有数のハッピーな国

そんな国ですが、コロンビアは世界有数のハッピーな国というのはご存知でしょうか。

国連が毎年発表している「世界幸福度報告」の2025年度版では、例年にもれず、フィンランド、デンマーク、アイスランド、スウェーデンなど、北欧諸国がトップを連ねています。汚職や貧困はなく、治安も良く、社会福祉も充実している、国連の優等生ですね。

一方で、スイスの調査機関「WIN/Gallup International Association」による調査では、2019年は幸福度1位がフィジー、2位がコロンビアとなっています。調査対象は、国連発表の前者が155ヵ国、後者は55ヵ国なので、単純には比較できませんが、どちらも基本的には、国民へのアンケート調査をもとにしています。ではなぜ違う結果が出るのでしょうか。

コロンビアの著名画家ボテロの作品。ボテロ美術館は入場無料で、写真も撮り放題。

アンケート調査では、質問の仕方が少し違っていて、要は、前者は「あなたが住んでいる国は幸せと思うか」といった趣旨、後者は、「(国の状況はどうであれ)あなたは幸せか」といった趣旨の質問となっています。つまり、治安は良くないし、道路は穴ボコだらけだけど、自分は家族や友人たちと一緒で幸せだよ、と思っている人の割合が、コロンビアは世界でも有数、ということです。

コロンビアは他の中南米の国同様、貧富の差が大きく、高所得層の住む界隈と、低所得層の住む界隈は、様相も大きく違います。ただコロンビアに住んで、お金持ちは必ずしも幸せではない、ということを強く感じるようになりました。

高所得層の人たちは、歩いたり公共の交通手段を使ったりせずに、どこに行くにもドアからドアまで自家用車ですから、高所得層の住む界隈は、道で人を見かけるとしたら、お手伝いさんや修理屋さんくらいです。そしてお金持ち程、仕事でのストレスでしょうか、苦虫を嚙みつぶしたような顔をしていて、お世辞笑いみたいに笑う人が多いです。子供たちも、家に閉じこもってパソコンゲームばかりです。

中~高所得層の住む界隈
低所得層の住む界隈

一方低所得層の住む界隈では、道にはワサワサ人がいて、休日になれば家族で連れ立って公園に行き、子供たちは通りで元気にサッカーをし、大人たちは近所の店に集まってビールを飲みながらワイワイ、本当に心底楽しそうに大口をあけて笑っています。一人で歩いている人など、皆無です。別にお金持ちでなくても、周りの人も皆同じだからいいよね、といった感じです。

気候が良いのも関係しているかもしれません。首都のボゴタや第二の都市メデジンは常春で、一年中春の気温。だから、一年中どこかで花が咲いていて、クローゼットには一年中同じ服が並んだままです。海岸の暑い地方は年中暑いですが、決して寒くはならないので、衣服や寝具にお金をかける必要はありません。

良い大学に入って大企業に勤めることが幸せだとは毛頭思っていないので、小学生のうちから塾に通ったりすることも、もちろんありません。

コロンビア人はお洒落で有名、売り上手

それからコロンビア人は、近隣の国と比べてお洒落なので有名です。コロンビアで開催されるファッションショーは大盛況で、ラテンアメリカで人気の、コロンビアのブランドの化粧品や服飾は、男性用も含めて多くあります。コロンビアに出張に来たブラジル人女性に、どこか行きたいところはあるか聞くと、必ずショッピングモールに連れて行って欲しいと言われ、コロンビアブランドの化粧品や服、旦那さん用の下着などを買いまくります。

メキシコでは、コロンビアに住んでいるというと、メキシコ人女性たちから羨ましがられます。コロンビア男性は、メキシコ人男性よりもイケメンが多いからだそうです。ミス・ユニバースのコンテストでは、いつも必ず上位の方にコロンビア人女性がいますが、冷たい美人というより、愛嬌のあるチャーミングな女性が多いです。また韓国のように整形手術も盛んで、女性にとって重要な15歳の特別な誕生日に、整形手術をプレゼントする親も、普通にいます。

またコロンビア人は、「売り上手」なので、ラテンアメリカではセールスパーソンをコロンビアに派遣して、研修を受けさせる会社も多いです。お店で、探し物や気に入ったものがなかったりすると、店員さんが親切に他のお店を教えてくれたり、自分で探してきてくれることもあったりして、客の心をつかむのが本当に上手です。

コーヒー農園で見かける、摘みたての豆を運ぶトラック
テーマパークの子豚のレース

※ 写真は記事の内容とはあまり関係ないですが、コロンビアで筆者が撮影したものです。