皆様、こんにちは。私は2017年から2019年末までの3年間、中国四川省成都市にある中国国有企業の社員として仕事をしていました。「成都」というと、パンダ、三国志などが有名です。女性作家ユン・チアンの自伝的ノンフィクションである『ワイルド・スワン』を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。

成都市は北京から南西へ約1800kmの所にあり、これは北京から名古屋までの距離と大体同じです。成都は曇りの日が多く、湿度が高くて日照時間が少ないため、女性にとってはお肌に優しい環境でもあります。四川省は中国の内陸部にあり、チベット高原へとつらなっていく高山帯を有することから、「寒いのでは?」という印象をお持ちの方もいらっしゃいますが、成都の気候は温暖で、冬も氷点下になることはほとんどありません。

「2018~19年中国都市住みやすさ指数報告」(注:58同城、安居客、上海師範大学不動産経済研究センターなどが共同でまとめた報告書)によると、成都市は中国で最も住みやすい都市の第1位となっています。地下鉄などの交通網も発達していて便利です。また、伊勢丹やイトーヨーカドーといった日系の商業施設もあり、私たち日本人にとっても住みやすい街です。今回は、そんな成都市の見所を思い出とともに振り返りながら、ご紹介します。

1.成都武侯祠

成都武侯祠は諸葛孔明や劉備玄徳などが祀られている、成都市内でも一二を争う観光地です。そのため、国慶節などの長期休暇には各地から観光客が押し寄せ、ごった返します。

私は成都に住み始めた頃、そんなに混雑するとは知らずにうっかり国慶節期間中に武侯祠を訪れたことがありました。家からタクシーに乗って向かう途中、運転手に「成都市内に住んでいて、武侯祠なんていつでも行けるのに、どうしてよりによってこんな時期に行くのか?」と言われたのですが、着いてみて分かりました。武侯祠のチケット売場には長蛇の列。武侯祠のすぐ横には、「錦里」という古い街並みを再現した場所があるのですが、こちらも人・人・人……。結局その日は諦め、なんでもない日曜日に出直しました。

武侯祠の敷地は15万㎡、東京ドーム約3個分に相当する広さです。竹林に赤い壁が映える小道は、蜀の時代を彷彿とさせます。しかし、やはり何と言っても劉備、関羽、張飛の3人の像が並んでいるところは圧巻です。

武侯祠で三国志の世界に浸った後は、すぐ横にある「錦里古街」をブラブラ歩くのがオススメです。食べ歩きをしたり、手作りのお土産を買うのも楽しいです。

2.成都ジャイアントパンダ繁育研究基地

成都武侯祠と並び、「成都ジャイアントパンダ繁育研究基地」は成都で最も有名な観光施設のひとつです。園内は非常に広く、歩いて回ると3時間近くかかります。園内には電動の観光車両が巡回しているので、歩き疲れたら観光車両に乗って回るのもオススメです。

私がこのパンダ基地の観光に訪れたのは2017年の夏でした。ちょうど上野動物園ではシャンシャンが生まれて1ヶ月経った位の時期です。日本ではシャンシャンはまだ一般公開されておらず、慎重に育てられていました。ところが、こちらは違いました。

「パンダの産室」という一般公開されている施設に入ってみると、なんと保育器に入った赤ちゃんパンダが目の前にいるではありませんか! 皆さん普通にパシャパシャ写真も撮っていますが、パンダも職員もいっこうに気にする気配は無し。日本ではお目にかかれない、生まれて間もないパンダの姿を見ることができました。

私が行った時は暑かったので、屋外で飼育されているパンダのほとんどは、寝ていました。少し涼しい時の方が、活発に動き回るパンダを見ることができるそうですので、時期を選ぶことができるなら、春か秋に訪れるのが良さそうです。

3.金沙遺址博物館

こちらは古代の歴史に興味がある方にオススメの博物館です。地下鉄の駅からも近くて便利です。

金沙遺址博物館は、3000年以上も昔に栄えた「金沙遺跡」を展示しているもので、中国最古の王朝・殷の時代から春秋戦国時代に至るまでの都市遺跡です。金面具の他、青銅器や玉器など、多くの出土品が展示されています。

地下鉄の駅自体が、すでに博物館の様相を呈していて、かなりワクワクします。金面具が出土されたからでしょうか。エレベータまで金ピカです。

遺跡は巨大なドームに覆われていて、全体を見渡せるようになっており、迫力があります。どこから何が出土されたのか、写真も展示されています。

園内は広々とした公園になっており、秋の紅葉シーズンなら見事な銀杏の黄葉を見ることができるでしょう。

成都にはまだまだ沢山の観光地があります。また、郊外に足を伸ばせば、多くの世界遺産(九寨溝、峨眉山、楽山大仏、都江堰、青城山)があります。成都は大都会である一方で、自然と歴史を感じることもできる街です。訪れる機会がありましたら、ぜひ「街ブラ」してみて下さいませ。