韓国エンターテイメント・コンテンツへの国際的な注目

近年の韓国のエンターテイメント市場は非常に活気があり、国内外で大きな成功を収めています。

BTS、BLACKPINK、TWICE をはじめとした韓国のアイドルグループは、世界的なファンベースを持ち、米国の音楽チャートを席巻するなど、国際的な成功を収めています。

また、韓国映画・ドラマも国際的な注目を浴びています。韓国映画・ドラマは、魅力的なストーリーテリング、演技力の高さ、高品質な制作などで評価されており、特にアジアを中心に幅広い視聴者層に支持されています。

韓国コンテンツの躍進の秘訣

このような韓国コンテンツの躍進の秘訣について個人的に考察してみました。

グローバル市場を前提にした制作

まず、このような韓国のコンテンツ産業が、国内市場だけではなく、最初からグローバル市場を前提にして制作を行っています。

日本のジャニーズ事務所には年間20万人くらいの応募がありますが、韓国の大手芸能事務所であるSMエンターテイメントは、世界中から年間35万人の応募があります。また、厳しいオーディションを勝ち抜いた後も、練習生として、朝の10時~深夜2時の14時間ほどダンスや歌などのトレーニングを積んでいます。

このような厳しい審査とトレーニングにより、韓国の芸能事務所は、世界に通用する歌とダンスの素養を備えた人材を抱えることが可能となっています。

韓国消費者の映画・ドラマ等への厳しい目

次に、韓国映画・ドラマに対する消費者の厳しい目も、コンテンツが躍進する一因となっています。

韓国映画・ドラマには、感動的なシーンや人間ドラマが多く描かれているため、視聴者は登場人物の感情に共感しやすく、一緒に泣いたり笑ったりすることが多いです。また、韓国映画・ドラマにはサスペンスやミステリー、アクションなどの要素を含んだストーリーもあります。物語がどのように展開していくのかを予想し、その展開に興奮することがあります。例えば、ドラマであれば、最後の5分間に予想外の展開を必ず用意しており、視聴者を逃さない工夫がされています。

韓国では、このような映画やドラマが発信されると、多くの人がそのコンテンツを視聴します。例えば、国内映画と外国映画を合わせた2019年の映画観客数は、韓国2億2,668万人に対して日本1億9,491万人であり、人口比で換算すると(韓国人口:約5,174万人、日本人口:約1.25億人)、韓国人は日本人の約3倍の頻度で映画を見ていることになります。

同じく興行収入は、韓国1兆9,140億ウオン(約1,705億円)に対して、日本2,611億円であり、これも人口比で換算すると、韓国は日本の約1.6倍稼いでいることになります。

また、このようなコンテンツに対して、ネット上で様々な意見が交わされます。単に作品がおもしろい、おもしろくないとのことではなく、この作品の演出はすばらしいが、演技が残念であるとか、専門家のような具体的な意見が多いのが特徴です。

韓国大手企業による原作の発掘

また、近年韓国の大手企業を中心にコンテンツの原作の発掘にも注力しています。

例えば、カカオトークやネイバーなどの韓国IT大手は、ウェブ漫画の発信の場であるアプリなどを企業買収しています。このような漫画を原作にして、ドラマや映画を製作することで、一作品のLTVを最大化することを目論んでいます。このような原作の囲い込みによる著作権ビジネスの競争は今後激しくなることが予想されています。

韓国コンテンツ産業は、右肩上がりの成長

韓国コンテンツ振興院の調査によると、韓国のコンテンツ産業の輸出額は、右肩上がりでずっと伸びています。2019年は約126兆7,123億ウォン(約12兆6,712億円)に達しており、2015年から2019年まで年平均6.0%増加しています。

やはり音楽やドラマなどの分野やこのような韓国コンテンツ産業の堅調な成長を牽引しています(ちなみに、日本コンテンツ産業では、アニメとゲームが牽引しています)。

今後も韓国コンテンツは、世界中にファンを拡大していくことが予想されます。

 

韓国コンテンツ産業の規模推移(2004年~2019年)