皆さん
ドリアンと言う果物をご存じでしょうか。日本ではあまり馴染みがないですが、中には東南アジアからの駐在員、海外旅行された方からのお土産でドリアン風味のお菓子とか、ケーキを貰われてその名前をご存じの方も多いのではないかと思います。
多分、そういった方の印象は珍妙な味と言う評価で、中にはチーズが腐った様なニオイ、履き古した靴下のようなニオイと酷評されることもしばしばで、これが果物の王様と呼ばれる物とは、とても想像すらできないかもしれません。
話がそれますが、皆さんはDr.Pepperと言うチェリー味のドリンクをご存じでしょうか。日本ではFanta オレンジとか、Fantaグレープとかと一緒に売られていた非常にマイナーな飲み物です。このDr.Pepperについて、私以外の家族4人の評価は散々で、クスリ臭いとか、カビ臭いとか、誰一人好む者はいませんでしたが、私のみユニークな味に慣れ、愛飲しておりました。
と言う事で、私の味覚は普通の日本人よりは偏っているかもしれません。このあたりを考慮すると 「ドリアン愛」についての私の記述は少し割り引いて考えていただく必要があるかもしれません。
さてドリアンとはどんな果物でしょうか?
ドリアンは東南アジアのマレー半島が原産で、常緑の多年生植物です。樹木の高さは10~30メートルにもなり高いものでは50メートルにもなるとのことです。
この大木の枝にドリアンの果実がぶら下がっています。果実は直径が15~30センチ、重さは1~3キロくらいでごつごつした鋭角の固い殻で覆われています。殻の中に実がありますが、実の中には大きな種があります。
ペナンでドリアンに出会いました
私のドリアンとの出会いは、私がマレーシア・ペナンに駐在した2005年でした。ここで少しペナン島の紹介をします。
ペナン島はマレー半島西側北部に位置し、マレー半島とインドネシアのスマトラ島を隔てるマラッカ海峡のインド洋と太平洋を結ぶ東西貿易の交易船の寄港地として栄えました。その後18世紀にイギリスに割譲され、世界遺産にも登録されているジョージ・タウンは歴史都市として有名です。又、島の北部は高級リゾートホテルが立ち並び、きれいな海岸があり、「東洋の真珠」と呼ばれた面影を残しています。
ペナン島は、13.5kmのペナン大橋によりマレー半島対岸のバーター・ワースと結ばれておりマレーシア、ペナン州を形成しており、クアラルンプールに次ぐマレーシア第二の都市となっています。海鮮料理、ペナン・ヒル、豪華なリゾートホテル等ペナンの思い出は尽きないのですが、又別の機会にお知らせできればと思います。
ドリアンとの最初の出会いは、期待外れでした
さて赴任後、最初にドリアンに出会ったのは、ペナンの食品スーパーでした。夕食の買い出しにスーパーをぶらぶらしていたら、パック詰めのドリアンを売っており、これが噂のドリアンかと思い、早速購入しアパートで食してみました。
とにかく匂いが強烈だと言う事は聞いていたので。どんな匂いなのか興味深々でパックを開き食してみましたが、特に強烈な匂いもなく、味もふやけたサツマイモのような感じで、最初のドリアン・チャレンジは期待外れの結果と なりました。
2度目の出会いで、ドリアンのとりこになりました。

それから数ヵ月後、ランチに出た帰り道、道端にイガ栗の大きなようなものが山積みにされているのを見つけドライバーにあれは何だと尋ねたところドリアンだと教えてもらいました。
スーパーで見た ドリアンの果実とは似ても似つかぬ外見にびっくりしました。そのあと早速、会社の仲間と昼食後のデザートとして露店のドリアンに挑戦してみました。露天商のオヤジに1つ呉れと頼むと、色味の良いスイカを選ぶように、熟したドリアンを選んでくれてナタでドリアンを割ってくれました。

ドリアンの実の外見はご覧のようにトゲトゲで手袋をしていないと手が痛くてたまりません。その身を割って出てきた果実は、バナナの様な黄色で匂いも全くしませんでした。割った実の中には、縦に5つの房に分かれており、その一つの房には2~3個の大きな種を含んだ果実があります。果実の表面は白い薄膜に包まれています。この薄膜は特に気にならなければそのまま食べてもよさそうです。
皆初めての経験で、差し出されたドリアンの果実を恐る恐る食しました。
私の第一印象は、蒸かし芋の様な感じでしたがじっくり味わってみると、その濃厚で甘くクリーミーな味は他にたとえようがありません。すっかりドリアンのとりこになった私は、シーズンの4月~8月には週に2~3回露店に通っていました。
しかし、あまり食べすぎるとドリアン味のゲップが出ます。ドリアンを食べながらアルコールを飲むとか、食べた後にアルコールを飲むのはNGともいわれています。食べきれないときはタッパーに入れて冷凍庫に入れておけばかなり日持ちしておいしく食べられます。解凍して食べるドリアンが、又、なんとも味わい深いものがあります。
マンゴスティンなら万人向けの味です

東南アジアはトロピカルフルーツの宝庫です。ドリアンが果物の王様なら、果物の女王と呼ばれるマンゴスティンがあります。こちらは好き嫌いがはっきりと分かれるドリアンと違い、白い果実で貴婦人を思わせるような万人向きのさわやかな味が特徴です。
そのほか日本でも馴染みの深いパパイヤ、マンゴ、最近日本でも見かけるようになったドラゴン・フルーツ、ランブータンとかも豊富で食の楽しみとは別に、私は食後のデザートのフルーツのおいしさと豊富さ、安さをペナンで満喫しました。
大好きな人と大嫌いな人にはっきり分かれ、実際ペナンのホテルでも「―ドリアン持ち込み禁止―」のところが多いです。しかし、好きな者にとっては麻薬中毒患者のように脳にその味覚がインプットされるドリアン。コロナ禍が収まって、早くドリアンの季節に合わせてペナンを訪れたい。又、皆さんにも「ドリアンの本当のおいしさを味わってもらいたいな」と考えている今日この頃です。
